すれ違った誰かさん(2)

何か心に染みるものがあるのにそれを言葉にあらわすことができない
物心がついてから常に言葉で多くのことをあらわし、
多くのことを伝えてきたのに
心に染みる“何か”をあらわすことは容易ではない

だが、心に染みる“何か”は
まるで乾いた土に染み込む水や、喉が渇いた時に飲む水のような
潤いを感じる存在だと、俺は思う

もしかしたら俺は心に染みる“何か”を
幼き頃に比べればあらわせるようになってきたのかもしれない

それは自らの進歩と同時に、
表現することへの喜びに繋がっているのであろう